相続放棄をした場合に代襲相続は発生するか
1 代襲相続って何?
代襲相続とは、本来相続人となる人が被相続人より先に亡くなっている場合に、相続人の子ら下の世代が本来の相続人に代わり相続人となる制度です。
例えば、祖父より先に父が亡くなっていたケースにおいて、祖父が亡くなった場合、孫(父の子)が亡父の代わりに相続をすることを代襲相続と言います。
2 相続放棄をした場合に代襲相続は発生するのか?
結論からいうと、相続放棄をした場合、代襲相続は発生しません。
なぜなら、上記のとおり、代襲相続は、本来相続人となる人が被相続人より先に亡くなってい場合に適用される制度だからです。
すなわち、相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになりますので、代わりに引き継ぐ相続人たる地位がないことになります。
そのため、相続放棄をした場合には代襲相続は発生しないのです。
3 注意すべきケース
上記のとおり、相続放棄をすると代襲相続が発生しないこととなりますが、被相続人の亡くなったタイミングと相続放棄のタイミングの前後関係で、代襲相続が発生することがありますので、以下のケースの場合には、注意が必要です。
⑴ 父が亡くなり相続放棄した後に祖父が死亡した場合
父が亡くなった際に子が父の分につき相続放棄をした後、祖父(被相続人)が亡くなった場合、この場合は、祖父の相続開始時に相続人が被相続人より先に亡くなっているケースになりますので、孫は祖父の相続に関し代襲相続が発生します。
そして、先に行った相続放棄は父の分についてですので、祖父の分について相続放棄の効果は及んでいません。
そのため、祖父の分についても相続したくない場合には、相続放棄の手続きを行う必要があります。
⑵ 祖父が亡くなった後に父が相続放棄をせずに死亡した場合
祖父が亡くなった後、3か月の熟慮期間の間に相続放棄の手続きをすることなく父が亡くなった場合、孫は、父の持っていた相続する権利を引き継ぐこととなります。
そのため、父の遺産と祖父の遺産、双方の遺産について相続放棄するか否か検討する必要があります。
祖父の相続放棄をして父の遺産を承認することはできます。
しかし、父の分について相続放棄すると、祖父の遺産についても相続放棄することになってしまいます。
孫が祖父の遺産を相続するのは、父を引き継ぐため、その父の分を相続放棄により引き継がないとされるため、引き継ぐ権利を失うからです。